男女共同参画懇談会代表のさいたまコープ副理事長渡辺光代さんが開会挨拶を行い、
資生堂のCSR活動としても位置づけている取り組みや東京労働局の次世代育成支援の行動計画策定のお話から大いに学び、各生協の男女共同参画の取り組みの促進に生かしていきたいと述べられた。
懇談会副代表のコープながの理事長米原俊夫さんの司会で進めた。
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講演1
「男女協働参画社会をめざして」
講師:株式会社資生堂 CSR部次長 山極清子さん |
資生堂のCSRの活動に男女共同参画活動を位置付けている取り組みやポジティブ・アクションの目標についてお話いただき、男女共同参画活動として、社内風土の醸成、リーダーの育成・登用、ワーク・ライフ・バランスの実現の3つの課題解決に向けたアクションプランに取り組んでいることが報告された。
資生堂は、薬局からはじまった創業当初から「男女すべからく働くべし」との精神があり、キャリアウーマンの走りでもあった。職員数は約15,000人で男女比率は女性が7割、男性が3の割合で、97年に人事部が「ジェンダーフリーな職場」に取り組み、4年でやっと成果が見えはじめた。
「女性は管理職にふさわしくないのではないか」という考え方があるなどジェンダーの問題があることに気づき、「ジェンダーフリーとは、ともに自分らしく能力発揮していくこと」だと気づき、「こんなに会社がよくなった、働きやすくなった」の確認ができた。会社として発展することも大事だが、社員一人ひとりが自分の成長をめざすということも重要なことだと位置付けていくようになった。
仕事と家庭の両立のための取り組みとして、育児休業支援制度などの他に、企業内保育施設の開設(他企業の職員も利用できる)、WIWIW事業(インターネットを通じた育児休業中の人のスキルアップの支援のためのプログラム)にも取り組みんでいる。
資生堂では、04年4月にCSR部を設置した。CSRの3つの主な活動として、企業倫理・環境活動、社会貢献活動とともに、男女共同参画活動を位置付け、化粧品という消費財メーカーであることの強みを活かした活動、社内外のコミュニケーションの強化、PDCA(計画・実行・振り返り)のサイクルにより着実な活動で進めていこうとしている。CSR委員会もでき、環境部会、文化・社会貢献部会、人権啓発部会、女性活躍支援部会の4部会があり、女性活躍支援部正・副部会長には、CSR部長・人事部長が就き、月1程度部会を開くという推進体制も作っている。
現在、35社によるワーク・ライフ・バランス塾を開設している。自社だけでなく多くの企業が参加し力を出し合い、議論したり新しい情報を得て、仕事と家庭を両立するための企業のあり方を研究している。ワーク・ライフ・バランスは、仕事の時間生産性の向上に取り組むことによって、個人が社外生活で得た視野の拡がりや価値観を、また仕事に生かすことが出来るという面で、大きな意味を持っている。
最後に、次世代育成支援の行動計画について、資生堂においても検討中だが、企業の社会的責任を果たすという意味でも、ともに力を出し合ってよりよい行動計画を作っていきましょうと述べられた。
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講演2
「次世代法に基づく行動計画策定と事例紹介」
講師 東京労働局雇用均等室 菊地昭子さん |
行動計画の次世代育成支援対策の内容として、行動計画策定指針に掲げられた、雇用環境の整備に関する事項の、「仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備に関すること」と「働き方の見直しに関すること」のそれぞれの項目について具体例にもとづきお話いただいた。
また、行動計画策定届けの出し方や11月中に決まる予定の改正育児介護休業法の内容も含め報告いただいた。
雇用環境の整備について適切な行動計画を策定したこと、行動計画に定めた目標を達成したことなどの一定の要件を満たした場合、申請により受けることができる「認定」については、認定基準の「雇用環境の整備」に関しては、「策定・変更届け」の項目のひとつ以上が整備されていなければならないことなどが報告された。
行動計画の目標として、法律を上回る制度の導入に関すること、それの利用率のさらな るアップの2つがあり、制度の導入が一定整っており、制度をこれ以上入れるのは無理という場合は、その利用率をあと10%上げるなど、ソフト面での具体的な取り組みが必要であり、それが行動計画の目標になるので積極的な策定が望まれることが述べられた。
(3)報告
「次世代育成支援行動計画策定の取り組み」
さいたまコープ 経営企画室長 仲松峯二さん
さいたま・とうきょう・コープネット事業連合による行動計画策定のタスクを設置し 推進している取り組みについて報告いただいた。コープネットのその他の会員生協にもよびかけタスクに一緒に参加していること、行動計画期間は2年とすること、4月1日には届けを出すスケジュールで進めていることが報告された。
職員のニーズの把握では、女性職員の集まりなどオフサイトミーティングでも意見 聞き、挙がっている様々な問題を常任役員会にありのまま報告し、どのようにしたらいいのかなどを問題提起していく予定だ。
行動計画が策定されたら、目標数値も明確にしながら広く共有できる媒体などを作って浸透させていきたい。
タスク会議では、「人事教育などに深く係わること、タスク内だけでやりきれない」などの率直な意見も出し合いながら、経営会議の中でも学習テーマとして取り上げ、三者共同中計の重要な課題として位置付け、それぞれの生協の理事会への提案・確認を経て行動計画を決める。
職員のニーズ調査をもとに、行動計画策定に関する現状の数値を把握し、業務フローをつくり、両立指標診断結果も参考にしながら着実に進めていきたいと報告された。
最後に米原副代表が閉会挨拶を行い、今回の学習会であらためて生協が社会的責任の 視点からも男女共同参画の取り組みを推進することが求められていることを再認識した、
行動計画策定と共に今後の取り組みに生かしていただきたいと、述べられた。